2013年 01月 25日
レ・ミゼラブル Fight,Dream,Hope,Love |
(原題:Les Miserables)
イギリス映画 原作:ヴィクトル・ユーゴー 監督:トム・フーバー
脚本:ウイリアム・ニコルソン他 作曲:クロード=ミッシェル・シェーンベルグ
製作:キャメロン・マッキントッシュ
主演:ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロー、アン・ハサウエイ
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この作品は、19世から20世紀にかけてのベストセラーであった文豪ヴィクトル・ユーゴーの歴史的大河小説、レ・ミゼラブルのミュージカルの映画化である。ミュージカルの映画化の歴史の中で、ここで又映像と音楽の新しい融合を華麗にも表現豊かに実現して見せた、フーバー監督と製作陣やキャストの方の見事な腕前に大きな拍手を送りたい。
その見事な構成力や緻密な音楽のアンサンブルが、違和感なくフィナーレの「民衆の歌」と共に観るものをして大きく心揺さぶられるものがある。
ミュージカルの映画化は、舞台で成功した作品のために映画化を、イメージを崩さずに成功させるには、夫々困難を伴い、半端になりがちである。ミュージカルにはファンタジックな色濃いものが多く柔らかく愛を詠い物語るものが多いが、「レ・ミゼラブル」は、生と死、革命、といった生々しいテーマを扱いながら、セリフは無く感情を音楽のみで反映させる新しい映画文体を生みだし、成功した稀有の作品になった。
ミュージカルとして約30年も好評理に興行を続けた後の映画化であった。記憶をたどりながら、ミュージカル「レ・ミゼラブル」のカタログヲ探した処、1985年ロンドンのパレス・シアターで観劇した時のカタログが出てきた。その時の制作者、脚本、作曲者とも本作品に全員参画している事が判った。
彼らが、「英国王のスピーチ」の監督トム・フーバーに白羽の矢を立てて演出を依頼してこれをいい作品にする骨子が出来上がった内訳ばなしが伝わっている。
即ち、フーバー監督は前作「英国王のスピーチ」の際も配役にも適役者を絞るまで妥協せず、ジョウージ6世や英国王室の日常を巧みに描いて、数々の賞に輝いている緻密な監督で、
シェーンベルクの名曲を信じうまく映像に散り嵌めた。ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロー等端役に至るまで完璧なキャスチングで、アフレコを使用せず、全員をライブで歌わせて、あっと!云わせている。即ち映像と音楽のパッチワークではなく、生々しい臨場感あふれる
入魂の映像をつくりあげている。
映画は、冒頭座礁した巨大な船を曳く囚人の集団を、クレーン撮影で捉えたダイナミックな
カットから始まる。“囚人の歌”から慟哭の運命を象徴するような映像が、パン一切れを盗んだ罪で収監となるジャンバルジャンの人生を描きだす。
物語は、沢山の、歓び、悲しみ、悲哀、絶望、怒り,勇気、夢、希望,愛と、数々の流れの後で波乱万丈の人生も浄化され、学生たちが革命に向けて蜂起する場面と「民衆の歌」が響くスケールの大きいラストで、感動の渦を巻き起こしている。
どうやら、西欧人にとって「レミゼラブル」は歌舞伎十八番かもしれない。そこには人と人の絆、困難に立ち向かう勇気、誰かのために生きる尊さや、希望を捨てないスピリットを謳いあげている。今日的メッセージとして受け止めよう。
(☆☆☆☆☆)
(平成25年1月22日)
イギリス映画 原作:ヴィクトル・ユーゴー 監督:トム・フーバー
脚本:ウイリアム・ニコルソン他 作曲:クロード=ミッシェル・シェーンベルグ
製作:キャメロン・マッキントッシュ
主演:ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロー、アン・ハサウエイ
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この作品は、19世から20世紀にかけてのベストセラーであった文豪ヴィクトル・ユーゴーの歴史的大河小説、レ・ミゼラブルのミュージカルの映画化である。ミュージカルの映画化の歴史の中で、ここで又映像と音楽の新しい融合を華麗にも表現豊かに実現して見せた、フーバー監督と製作陣やキャストの方の見事な腕前に大きな拍手を送りたい。
その見事な構成力や緻密な音楽のアンサンブルが、違和感なくフィナーレの「民衆の歌」と共に観るものをして大きく心揺さぶられるものがある。
ミュージカルの映画化は、舞台で成功した作品のために映画化を、イメージを崩さずに成功させるには、夫々困難を伴い、半端になりがちである。ミュージカルにはファンタジックな色濃いものが多く柔らかく愛を詠い物語るものが多いが、「レ・ミゼラブル」は、生と死、革命、といった生々しいテーマを扱いながら、セリフは無く感情を音楽のみで反映させる新しい映画文体を生みだし、成功した稀有の作品になった。
ミュージカルとして約30年も好評理に興行を続けた後の映画化であった。記憶をたどりながら、ミュージカル「レ・ミゼラブル」のカタログヲ探した処、1985年ロンドンのパレス・シアターで観劇した時のカタログが出てきた。その時の制作者、脚本、作曲者とも本作品に全員参画している事が判った。
彼らが、「英国王のスピーチ」の監督トム・フーバーに白羽の矢を立てて演出を依頼してこれをいい作品にする骨子が出来上がった内訳ばなしが伝わっている。
即ち、フーバー監督は前作「英国王のスピーチ」の際も配役にも適役者を絞るまで妥協せず、ジョウージ6世や英国王室の日常を巧みに描いて、数々の賞に輝いている緻密な監督で、
シェーンベルクの名曲を信じうまく映像に散り嵌めた。ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロー等端役に至るまで完璧なキャスチングで、アフレコを使用せず、全員をライブで歌わせて、あっと!云わせている。即ち映像と音楽のパッチワークではなく、生々しい臨場感あふれる
入魂の映像をつくりあげている。
映画は、冒頭座礁した巨大な船を曳く囚人の集団を、クレーン撮影で捉えたダイナミックな
カットから始まる。“囚人の歌”から慟哭の運命を象徴するような映像が、パン一切れを盗んだ罪で収監となるジャンバルジャンの人生を描きだす。
物語は、沢山の、歓び、悲しみ、悲哀、絶望、怒り,勇気、夢、希望,愛と、数々の流れの後で波乱万丈の人生も浄化され、学生たちが革命に向けて蜂起する場面と「民衆の歌」が響くスケールの大きいラストで、感動の渦を巻き起こしている。
どうやら、西欧人にとって「レミゼラブル」は歌舞伎十八番かもしれない。そこには人と人の絆、困難に立ち向かう勇気、誰かのために生きる尊さや、希望を捨てないスピリットを謳いあげている。今日的メッセージとして受け止めよう。
(☆☆☆☆☆)
(平成25年1月22日)
by masakuzu
| 2013-01-25 13:07
| イギリス