2011年 10月 26日
チェルノブイリハート |
(原題:Chernobyl Heart)
2003年 アメリカ・ウクライナ合作映画、監督・製作:マリアン・デレオ
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チェルノブイリ原発事故発生は1986年4月26日、今年で丁度25年になる。
今回勇気を持って観にでかけた。やはり衝撃的なドキュメンタリー映画だった。
これを作製したのはアメリカの女性ドキュメンタリー映像作家マリアン・デレオで2002年に国連本部でチェルノブイリ写真展を見て感動し、恐怖に震えながら製作を決意したと述べている。
日頃から思っているのだが、男の理屈を余所に、女性の感性の内には、物事を冷静に捉え、ある種の勇気を持って、悲惨に立ち向かう性向を持っている。
2008年にイラクの自爆テロの惨状を描いた「ハート・ロッカー」の監督も女性のキャスリン・ビグローであったし、日本でも97歳の現役写真家の笹本恒子もいる。
この作品は実は2004年に米アカデミー賞のドキュメンタリー部門でオスカーをとっているのである。その後2006年「東京ヴィデオフェスティヴァル」で優秀賞をとったようであるが、その後あまり話題にされず、やっと今年8月上映に至ったが経緯はやや恣意的なものがあるのではないか。何故かマスコミもあまり取り上げていない。
又、同じ様な事が3月に起こったのである。クリント・イーストウッド監督の新作であった「ヒア・アフター」が2月19日公開されていたが、冒頭の津波のシーンがその後の東北の津波を想わせるシーンであると3月14日に上映中止となった。
「チェルノブイリハート」とはチェルノブイリの心臓と云う意味で、チェルノブイリ原発事故発生以来、心臓に欠陥をもつ子供が多く生まれるようになり、ウクライナではそれをチェルノブイリハートの呼ぶようになった様である。
ベラルーシにおける健常児が生まれる確率が15%-20%であると衝撃的数字が紹介される。首都ミンスクの甲状腺病院では、何人もの青少年が甲状腺がんの手術を待っている。悲惨を極める遺棄乳児院の状況、食品などによる内部被爆はずっと後になってから出てくる現状を描いている。
日本のこの半年を振り返り、情報を楽観的に提示されたまま、問題の真相を隠匿する結果になっている実態を見るにつけ現実はもっと深刻であり、この作品は暴走してきた文明が自然と人間を傷付けている現実を見つめ直す機会であることを教えてくれている。
(平成23年10月20日)
2003年 アメリカ・ウクライナ合作映画、監督・製作:マリアン・デレオ
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チェルノブイリ原発事故発生は1986年4月26日、今年で丁度25年になる。
今回勇気を持って観にでかけた。やはり衝撃的なドキュメンタリー映画だった。
これを作製したのはアメリカの女性ドキュメンタリー映像作家マリアン・デレオで2002年に国連本部でチェルノブイリ写真展を見て感動し、恐怖に震えながら製作を決意したと述べている。
日頃から思っているのだが、男の理屈を余所に、女性の感性の内には、物事を冷静に捉え、ある種の勇気を持って、悲惨に立ち向かう性向を持っている。
2008年にイラクの自爆テロの惨状を描いた「ハート・ロッカー」の監督も女性のキャスリン・ビグローであったし、日本でも97歳の現役写真家の笹本恒子もいる。
この作品は実は2004年に米アカデミー賞のドキュメンタリー部門でオスカーをとっているのである。その後2006年「東京ヴィデオフェスティヴァル」で優秀賞をとったようであるが、その後あまり話題にされず、やっと今年8月上映に至ったが経緯はやや恣意的なものがあるのではないか。何故かマスコミもあまり取り上げていない。
又、同じ様な事が3月に起こったのである。クリント・イーストウッド監督の新作であった「ヒア・アフター」が2月19日公開されていたが、冒頭の津波のシーンがその後の東北の津波を想わせるシーンであると3月14日に上映中止となった。
「チェルノブイリハート」とはチェルノブイリの心臓と云う意味で、チェルノブイリ原発事故発生以来、心臓に欠陥をもつ子供が多く生まれるようになり、ウクライナではそれをチェルノブイリハートの呼ぶようになった様である。
ベラルーシにおける健常児が生まれる確率が15%-20%であると衝撃的数字が紹介される。首都ミンスクの甲状腺病院では、何人もの青少年が甲状腺がんの手術を待っている。悲惨を極める遺棄乳児院の状況、食品などによる内部被爆はずっと後になってから出てくる現状を描いている。
日本のこの半年を振り返り、情報を楽観的に提示されたまま、問題の真相を隠匿する結果になっている実態を見るにつけ現実はもっと深刻であり、この作品は暴走してきた文明が自然と人間を傷付けている現実を見つめ直す機会であることを教えてくれている。
(平成23年10月20日)
by masakuzu
| 2011-10-26 09:49
| アメリカ